川崎フロンターレの2014シーズンを振り返る
Jリーグの2014シーズンが、ほぼ終わった。
最終節の新潟-柏戦がまさかの大雪による順延となっているため、両チームの関係者やサポーターにからすれば「終わった」なんて言うのは失礼な話だろう。
でも、ガンバ大阪の優勝は決まったし、大宮・C大阪・徳島の降格も決まった。
そして、オイラの応援する川崎フロンターレが6位でシーズンを終わることも決まった。
そう、少なくともフロンターレの2014シーズンは完全に終わったのだ。
振り返ってみれば、実に色々なことがあったシーズンだった。
今年も勝てなかった序盤、悔いの残るACL、疲労困憊の前半戦、そこからの大久保嘉人ブラジルW杯メンバー滑り込みと中村憲剛の落選、夏場の強さ、秋口からの失速、多くのものを失ったガンバとの三連戦、終盤の混迷。
だが、これらはなにも特別なことではなくて、シーズンを戦い抜くというのはこういうことなのだろうと思う。ACLやW杯があったという点では特別だったかもしれないが、チームも個人もうまくいく時期といかない時期があり、様々な浮き沈みがあるというのはきっと毎年のことだ。
だからこそ、そこから多くの喜怒哀楽と物語がうまれるわけだし、その物語を体験できることがチームを追いかけていく醍醐味なのだと思っている。
だがしかし、そんな2014年シーズンをあえて一言で振り返るとしたら。
大島僚太と心中した一年。
個人的には今のところそういう印象が強い。
2014年のフロンターレは自分たちのスタイルにかなり特化したチームだった。
風間八宏はそもそも明確なスタイルを持ってチーム作りをする監督だと思うし、2013年もいわゆる「風間サッカー」と言われるスタイルがチームに浸透していたように見えた。
ところが、2014年の徹底ぶりはそんなもんじゃなかった。てっきり、3位となった昨年のチームをベースにプラスアルファを加えていくのかと思っていたのだが、まさかこんなに変わるのかというくらいサッカーの質が変わったと思う。
徹底的にボールをつなぎたおすサッカー。パス本数とボール支配率がグンと増え、攻撃のバリエーションも豊富になった。調子のいい時は何本もパスが回り、多くの選手が味方を追い越しゴール前に絡んでいくチームになった。
そのチームの生命線が中村憲剛と大島僚太のダブルボランチだったわけだが、だいたいダブルボランチにこの二人を並べるなんて、あまりに攻撃的すぎて普通の監督ならやらないだろう。しかし、はじめは「マジで?」と思ったこのユニットも、試合で結果が出ていくにつれ、いつしか当然のコンビになっていった。大島僚太はこの特異なチームの中でリンクマンとして抜群に機能し、時には効果的なスイッチを入れるプレーで存在感を出していった。
特に中断前は、多くの解説者が川崎のサッカーを賞賛していたし、その中で大島僚太も高い評価を得ていたように思う。だがやっぱり、よい時がばかりが続くわけがない。シーズンの後半、憲剛のケガによるコンディション不良とともにチームが失速すると、大島のプレーも精彩を欠いていった。
昨年はケガで離脱する期間があったので、一年を通して試合に出続けるのは今年が初めての選手だ。ACLやU21代表での活動もあり、なおさら疲労は溜まっていたことだろう。チームとしても彼自身も、当然研究されてくる。そう考えれば後半戦でパフォーマンスが落ちるのは決しておかしなことじゃないのだが、それでも風間監督は彼を使い続け、U21代表での不在時以外は、一度も先発を外さなかった。
チームの調子が落ちたから大島の調子も落ちたのか、大島の調子が落ちたからチームの調子が落ちたのか。その辺りはオイラにはよく分からない。でも、この2つは確かにリンクしていたように思える。
憲剛の状態が悪い(あるいはいない)なりの戦い方もあるだろうと思うのだが、最後まで戦い方を変えず、大島僚太の調子も上がらず、フロンターレは優勝戦線から離脱した。
それがオイラにとっての2014年シーズンの正直な感想だ。
今年、大島僚太が大きく成長したことは間違いない。彼はチームに欠かせない選手になった。その結果、フロンターレのサッカーの質も変化した。
だけど、まだチームを勝たせる選手にはなれていない。ようするにそういうことなんだと思う。
タイトルをとって欲しかったから、今目の前の勝利だけを目指しているように見えなかった後半戦の戦い方には率直に言って、フラストレーションが溜まった。
一方で、今後憲剛のパフォーマンスが落ちていくだろうことを考えれば、一刻も早く大島を育てることがチームの重要課題であろうことも分かる。分かっているのだ。
もうこうなったら、来シーズンである。来シーズンにこの花を咲かせることができるのか。2014年のあの一年があったから、この大島僚太、このフロンターレがある。そんなシーズンを迎えることができるのか。それを期待するしかない。
だいいち、オイラだって大島選手のプレーが大好きだし、応援している。もともと、将来をめちゃくちゃ期待している選手なのだ。
ただ、その期待をさらに大きなものにせざるを得ない。チームはそういう道へと歩みを進めている。そんな印象を強く持ったシーズンだった。
その行き着く先はどんな場所か。万感の歓喜を味わえる時がくることを信じて、この物語を追いかけていきたいと思う。
そんなこんな。
大久保選手、ほぼ2年連続得点王、おめでとうございます!