「MASTERキートン Reマスター」を読んでマンガ的世界を前向きに解釈する
「MASTERキートン Reマスター」の単行本が出ていたので、思わず購入。
大学生の頃、友達に勧められて読んだ「MASTERキートン」にハマり、主人公のキートンみたいになりたいと思っていた。オイラはそんな恥ずかしい過去を持つ男だ。
平賀=キートン・太一。物理的な強さと知性と教養を兼ね備えるさまは本当にカッコよくてまさに男の憧れだった。そのくせ、精神的な弱さも抱えていて、悩み葛藤する姿は大いに親近感を抱かせるものだった。そして、その弱さゆえに人から愛され、自らも人を愛し、人生の美しさを知っている。それがなにより素晴らしかった。
わらわらと世に出ている某ジャンプマンガたちの続編にはほとんど興味が無い。でも、「MASTERキートン」なら話は別だ。2世や3世ではなく、オリジナル版の主人公がそのまま登場する20年後の話ということも大きなポイントだが、なんといってもこの作品は人間を描いている。20年の歳月を経て、その人間描写にどのような深みが加えられているのか、キートンはどれだけカッコよさを増して、いかなる人生の美しさを語るのか、楽しみだったのだ。
で、読んでみた感想。キートンさん、ほとんど何も変わってない。
年齢設定どうなってるんだ?と思わずにはいられない、驚きの変わらなさである。
たしかオリジナル版では娘の大学受験の話があったから、当時娘が17〜18歳くらい。キートンは20歳で学生結婚をしたという設定だけど、それでも少なくとも当時38〜39歳。ってことは、「Reマスター」では60歳近くのおじちゃんということになる。下手したらおじいちゃんじゃないか。
それが20年前と変わらず、逃走したり、戦ったり、身体を張って奮闘しているのだ。
鉄板の関節技を極め…
打撃もOK!
あげくの果てには、なんか斧投げちゃったよ!
最悪、相手死んでたぞ。。。
ちなみに、キートンも変わらないが、娘の百合子もなかなかだ。現在、37〜38歳という設定のはずなのだが、この若さ。
かわいすぎるだろ!
そりゃあかわいい子を描いた方が読者喜ぶだろうけど、浦沢さん。まあ、そういうところも含めてのマンガですよね。。。
「Reマスター」でも彼は変わらずロマンチストのままで、自分の夢を追いかけ続けていた。しかし、彼の考えは世間から認められず、そんな現状を変えるアクションもできないまま、ぐずぐずと悩んでいる。そう、キートンはよいところもダメなところもたいして変わっちゃいなかったのだ。20年たっても。
だが、一方でこうも言えないか。結局、人はそんなに変わらない。
思えば子どもの頃は、大人はすごい生き物だと考えていた。なんでも分かっていて、なんでも我慢できて、動じず、間違わない。でも自分が大人になってみると、なんてことはない。分からないことだらけ、悩むことだらけ、感情に流されて、間違えてばかり。子どもの頃とそんなに大きくは変わらないのだ。いくつになってももがきながら、3歩進んで2歩下がるようにジリジリと人生を進めていくしかないと、キートンは必死に汗をかいて語っている。そう解釈した方が自分としては満足できる気がする。
果たしてオイラの20年後はどうなっているんだろう。とりあえず息子は大人になっているわけだから、ベタに酒でも酌み交わしながら、実は自分とそんなに変わらない親父の姿に親近感を感じてもらえるようになったら嬉しい。20歳そこそこじゃあ、まだ難しいかな。
そんなこんな。
2巻出るのは何年後だろうか。